技能実習と特定技能の違いとそれぞれのメリットを解説
会社に外国人の方々を受け入れる際に、思い浮かぶのが「特定技能」と「技能実習」の二つの制度かと思います。
両者は混同されて捉えられることもありますが、中身はまったくの別物です。
特定技能と技能実習は、それぞれ目的や求める技能水準などの違いがたくさんあります。本記事では、技能実習と特定技能の違いとそれぞれのメリットについて解説します。
技能実習と特定技能の違い
1-1 制度の目的
技能実習と特定技能とは「外国人を企業で受け入れる」という点では同じですが、受入れの目的が異なります。
技能実習制度は、日本の産業界において、技術又は知識を学ぶために来日した外国人に、技術や技能を習得させることを目的としています。
一方、特定技能制度は、外国人労働者が一定の専門性や技能を持ち、即戦力として日本の産業分野で働くことを目的としています。
つまり、技能実習制度は技術の習得を重視した制度であり、特定技能制度は即戦力としての受け入れを重視した制度と言えます。
1-2 対象業種
技能実習では、幅広い業種における技能習得を対象としています。詳しくは88職種(161作業)となっています。 具体的には下記一覧をご参照ください。(クリックして拡大表示)
一方、特定技能制度では、特定の産業分野における専門性や技能を持つ外国人労働者の受け入れを対象としています。 介護、建設、宿泊業、農業などの12分野の産業における特定の技能を持つ外国人労働者が受け入れ対象となります。
※2022年5月の閣議決定および同年5月の関係省令施行により、特定技能の受入れ職種で「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3分野は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」に一本化されました。
1-3 在留資格の違い
技能実習
技能実習制度では、技能実習生としての在留資格が1号~3号として与えられます。一方、特定技能制度では、特定技能1号または特定技能2号としての在留資格が与えられます。
技能実習の在留資格は下記表をご参照ください。
在留資格名 | 左資格で認められている在留期間 | 目標 |
技能実習1号 | 1年 | 技能等を修得 |
技能実習2号 | 2年 | 技能等に習熟 |
技能実習3号 | 2年 | 技能等に熟達 |
※1. 第2号技能実習もしくは第3号技能実習に移行が可能な職種・作業(移行対象職種・作業)は主務省令で定められており、また、第1号技能実習から第2号技能実習へ、第2号技能実習から第3号技能実習へそれぞれ移行するためには、技能実習生本人が所定の試験(2号への移行の場合は学科と実技、3号への移行の場合は実技)に合格していることが必要です。
※2. いずれの在留資格でも、付与される在留期間1年です。そのため、2号では入国から2年目から3年目に移行する際、3号では4年目から5年目に移行する際に、在留期間更新許可申請を行います。
特定技能
特定技能1号は、特定の産業分野での技能を持つ外国人労働者に与えられ、特定技能2号は、特定の技能を持つ外国人労働者に与えられます。
特定技能の在留資格は下記表をご参照ください。
在留資格名 | 期間 |
特定技能1号 | 1年、6か月又は4か月ごとの更新で通算の上限5年上限。 |
特定技能2号 | 3年、1年又は6か月ごとの更新で上限なし。 |
技能実習のメリット
2-1 技術や技能の習得
技能実習制度は、技術又は知識を学ぶために来日した外国の方々にとっては、自国では習得が困難な技術や技能を習得できるメリットがあります。また、受け入れる企業にとっても、適切な指導と教育を通じて優秀な人材を育成を目指すことで、社内の発展や従業員同士のコミュニケーションの活性化が期待できます。
2-2 国際貢献
技能実習制度を通じて、修得した技能や技術を母国に持ち帰って活かしてもらうことで、実習生たちの本国の産業や地域の発展に貢献することが期待できます。
特定技能のメリット
3-1 即戦力の確保
特定技能制度は、特定の産業分野で必要な技能を持つ外国人労働者を受け入れるため、即戦力の確保ができるメリットがあります。特定技能1号の場合、最大5年間の在留期間が与えられ、特定技能2号の場合は通算在留期間が無期限に与えられます。
3-2 継続雇用の可能性
特定技能制度では、一定の期間を経て継続雇用の可能性があります。特定技能1号は、一定の期間を経て特定技能2号への移行が可能であり、特定技能2号は、期間を経て更なる雇用延長が可能となります。
まとめ
技能実習制度と特定技能制度は、外国人の受け入れにおいて異なる制度であり、それぞれにメリットがあります。技能実習制度は技術や技能の習得を重視し、母国の産業や地域の発展による国際貢献が可能な一方、特定技能制度は即戦力の確保や国際人材の継続雇用に繋がるメリットがあります。
企業が外国人労働者の受け入れを検討する際には、それぞれの制度の特徴を理解し、目的やニーズに応じて適切な制度を選択することが重要です。
技能実習生や特定技能人材を受け入れることは 、企業の成長や発展に貢献する重要な要素であり、適切な制度の活用により、多様性を受け入れる力を持つ企業の発展を後押しすることが期待されます。
他にも在留期間や受け入れ人数、技能水準など細かな違いもあるため、もし技能実習生や特定技能人材の受け入れを検討されている企業様がございましたら、お気軽にご相談くださいませ。